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行政書士事務所に就職するには?

オーシャン代表ブログ

2016年02月07日

行政書士事務所に就職することは、実際のところ非常に難しいことであると思います。

対象事務所からの推測

そもそも、就職先としての行政書士事務所とは、きちんとした執務ができる事務所環境を持ち、一定の業務量があり、かつ適正な人件費を捻出することが可能な事業所を指す場合、その対象は推測するに、おそらく全国で300~500件前後でしょう。

この300件前後の事務所のうちで、新規に資格者を採用しようとしている事務所がどれくらいあるでしょうか?

これも、あくまで推測ではありますが、100事務所前後でしょう。
つまり、行政書士事務所に就職するということは、この全国にある100事務所の枠を掴まなくてはいけないという事です。

事業運営における労働環境の不備

悲観的な話ですが、事実をお伝えしますと、私どもの士業事務所において、行政書士・社労士・司法書士などの事務所においては90%超が個人事業であり、日本の中小企業とほぼ同じ実態です。実際には会社勤めをした事が無い資格者も多く、中小企業よりもひどい実情もあります

残念ながら、社会保険をきちんと支払っていない事務所も2~3割前後あるかもしれません。残業代という概念がない事務所も5割ちかくあるかもしれません。また従業員のキャリアを考えた配慮の無い事務所は8割に及ぶでしょう。

そもそも士業事務所できちんとした人事制度(人事・評価・賃金の制度)がある企業は、20名以下の組織では1%も無い事でしょう。これは日本全国の中小企業でも同様ですから。それは士業に限った事ではありません

前置きが長くなりましたが、前段でお伝えした100事務所の枠に就職するにも、これが中小企業の実態ですから、そこそこの規模の会社できちんとした業務体制の中で就業されていた方にとって、行政書士事務所で働くという事がどれだけ労働環境が脆弱であるか、現実に直面されることでしょう。

行政書士事務所の選び方

上記のようにきちんとした体制の整った行政書士事務所をどのように選んだら良いか、私の私見ではありますが、下記のような事務所を選ぶことを念頭に就職先を探されることをお勧め致します。

  • 事業の運営方針や経営理念があること。経営者が事業運営に情熱を持っていること
  • 所長の最低限の社会人としての経歴があり、経営をきちんと理解していること
  • 経営者が人格者であり、長期的な視点に立った経営を見ていること
  • 職場環境が清潔で、きちんとした顧客対応ができること
  • きちんとした給与体系があり、当然ながら社会保険完備であること
  • そこで働く従業員に常識があり、電話対応や接客対応含めて適正さが見られること
  • 平日9時~18時に電話した際に、日中に留守電や電話に出ない等がないこと

以上のような観点です。
こうした事務所は、全国に100事務所あるかどうか、というのが実情です。

多くの事務所を見ている私の観点からお伝えすると、非常に厳しい状況です。東京都内に10~20事務所、大阪・神奈川・名古屋で5~10事務所といった状況でしょう。人口が200万人いない都道府県では、1~3事務所しかその対象が無いかもしれません。実際に、私どものオーシャンには沖縄から北海道まで、自分の居住する都道府県では、就職先が無いからと飛行機や新幹線に乗って採用説明会に来られる方が、毎年4~5名ほどいらっしゃいます。

このように、きちんとした事務所を選ぶことは非常に難しい事ですが、その反面、きちんとした事務所があることも確かです
こうした状況の中で、資格に合格された方の中で、いつかは自分が地域で信頼される事務所を経営してみようと思っていただける事を期待しております。

私は経営コンサルタントとして、多くの行政書士事務所に関わり、多くの行政書士の経営指導をしてきました。正しい経営感覚を持っておられる素晴らしい方も沢山いらっしゃいます。反対に、「行政書士は食えない」と自分の経営能力の低さを恥ずかしげもなくブログに書くような方もおられます。そうしたネガティブ情報に左右される必要はありません。きちんとしたビジネススキルを磨くことで、行政書士は、立派に活躍することが出来る職業です。しかしながら、2000年頃に広告や価格設定が自由となり、何もしなくても仕事が来る職業では無くなりました。これは、司法書士も弁護士も同じです。世の中の他の職業や一般企業と同じ土俵に立ったという事です。悲観すべき事ではありません。

行政書士の求人は多くありません。
しかし腐らずに、是非とも、行政書士として活躍するべく、素晴らしいキャリアを磨いていただきたいと思います。

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